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最高裁判所第二小法廷 昭和45年(オ)134号 判決 1970年5月22日

上告人

榊原康博

外二名

代理人

中村経生

被上告人

恒吉菅代

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人中村経生の上告理由第一、二点について。

上告人康博と被上告人とは昭和三九年一二月四日婚姻し、両名の間に同一一月二四日長女千恵が出生したが、同四二年九月一四日右両名は調停により、右千恵の親権者を被上告人と定めて離婚したことは、原審の適法に確定した事実である。そうとすれば、右千恵が自分の自由意思に基づいて上告人らのもとにいる等特段の事情のないかぎり、被上告人が右千恵に対する親権者として監護養育の職分を完遂するため右千恵の引渡請求権を有することは、当裁判所の判例(最高裁判所昭和三五年三月一五日第三小法廷判決、民集一四巻三号四三〇頁)に照らして明らかであり、そして、右特段の事情を認めることができないとした原審の判断は是認することができる。また、違憲の所論は、親権が子のためのものであることを原審が看過していること、および、民法が子の引渡請求に消極的立場をとつていることを前提とするものであるところ、この前提の認められないことは原判決および民法の親権の規定の趣旨に徴し明らかであるから、前提を欠くものといわなければならない。よつて、所論は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の、一致で、主文のとおり判決する。(草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎 村上朝一)

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